Mercure des Arts

Mercure des Arts

Mercure des Arts は音楽評論家の丘山万里子さんが編集長を努めるWebマガジンです。演奏会批評を中心とする構成ですが、CD評、書評、様々なテーマの連載などもあります。

トップページの About US -> 「本誌の目指すもの」 にあるように

コマーシャリズムとは一線を画し、音楽の創造から享受にいたる全ての人々との交感と相互刺激が、音楽文化の真の成熟への新たな軌道となることを願う。


という方針で運営されており、書き手に一般の音楽雑誌にありがちな余計な配慮を求めていないようです。従って、ストレートな表現で、興味深く読める記事が多く、面白いです。
また、広告などの余計な情報は一切表示されませんので、気持ちよくアクセスできます。
というわけで、このサイトを紹介したいと思います。

このサイトはとてもシンプルな構成で、WordPressを使い作成されているようです。アイキャッチ画像はトップページの上段です。その下がこんな感じで、Webマガジンの表紙となります。Contents をクリックすればその号の目次が表示されます。

ご覧のように演奏会批評がメインですが、それだけでなく音楽関連の評論、記事や、音楽とは関係のない記事もあります。内容も充実していて、特に丘山さんの西村朗の考察は素晴らしい評論でした。

連載は終わっていますが、作曲家の評論としては斎藤俊夫さん伊福部朗の論文もあります。伊福部朗の評伝としては、最近、片山杜秀さんの「大楽必易」が出版されていますが(これもお勧め)、並んで評価されるべき評論だと思います。

演奏会批評については筆者のみ紹介し、Concert Review の画面(ピアノ鍵盤と手)をクリックすれば、その号の演奏会評が画面から選択できるようになっています。

こうい具合にカーソルを置いたアイキャッチ画像にタイトルも表示されるので、内容は分かります。

今月の批評の中ではカーソルでタイトル表示させている東京の春音楽祭の「ディオティマ弦楽四重奏団のシェーンベルク弦楽四重奏曲全曲演奏会」の批評が出色の内容でした。

「シェーンベルクを理解する最良の方法は彼の弦楽四重奏曲をまとめて聴くことだ」というのは卓見ですね。

また Member’s Profile をクリックすると、Mercure des Arts 全メンバーの略歴を知ることができます(便利ですよ)。

その少し下にWARPのロゴがあります。


WARP(Web Archiving Project)とは、ウェブ情報は様々な事情で消去されていくので、これを保存しておこうという目的で、国立国会図書館がインターネット資料を収集保存する事業です。
Mercure des ArtsはこのWARP対象のサイトになっているので、ロゴを表示しているわけです。実際にロゴをクリックすると、Mercure des Artsの過去のページをチェックすることが出来ます。

この仕組みは Mercure des Arts の特徴の一つです。『コマーシャリズムとは一線を画し、資料として後世に残る記事であること、世界中からのアクセスに応えられる記事であることを常に念頭に誌面の作成・執筆が行われている』ということです。

結果、数万/月のアクセス数があるのに、著名な音楽サイトでの Mercure des Arts の知名度は低いです。例えば、大所の音楽リンク集(音楽系ウェブマガジン一覧Music StyleClassical Music Links「音楽の友」リンク集ぶらあぼリンク集、など)に登録されていません。コマーシャリズムにまみれたサイトには Mercure des Arts の重要性は認識されないということですかね。

これがMercure des Artsが最初に公開された時のトップページです。アイキャッチ画像とコピーの内容が現在とは異なります。メルキュールとは古代ローマの伝令の神、メルキウスに由来しているのですね。この記述はいまではサイトのどこにもありません。WARPのおかけでサイトのタイトルの意味が分かりました(^^;;;。

トップページの最下部にはFacebookとXへのリンクがあります。それぞれ Mercure des Arts が運営するページにジャンプします。メンバが自由に書き込んでいるようですが、Facebookの方はフォロワー登録すれば最新号の案内をメールで受け取れることが出来るのだと思います。

Mercure des Arts がどのように運営されているかについては丘山さんがここ(メルキュール・デザールって、どういう仕組みになっているんですか?)に詳しく紹介しています。

「書きたい人が、書きたいことを、書きたいように書く」ために、同人誌に近い仕組みで運営する。原稿執筆の報酬はなく、サーバの運営は全てボランティアで行っている。批評の対象とする演奏会は同人のメンバが興味を持ったもののみが対象となる。演奏会のご案内・お招きはありがたく頂戴するが、レビュー執筆依頼はお受けしない。書く書かないは執筆者の判断が全てであり、後世に残り、グローバルに通用する評論を掲載することが目的である。

と要約を書いていて、レコ芸のクラウドファンディングを思い出しました。

ここから先の議論は長くなるので、続きは次回に。

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