久しぶりに音楽の友社のサイトを見に行ったら、レコード芸術オンラインがスタートしていました。
2024.09.27
『レコード芸術ONLINE』がオープンいたしました!
2023年7月号で休刊となった『レコード芸術』が、このたびオンライン・メディアとして心機一転、再スタートしました。創刊にあたっては、多くの皆様からクラウドファンディングによる御支援をいただきました。ここに改めて御礼を申し上げます。
『レコード芸術ONLINE』はクラシック音楽のアルバムを毎月約100タイトル批評する「新譜月評」を中核に、新連載や過去のアーカイヴ記事など盛りだくさんの内容となっております。■レコード芸術ONLINEホームページ
https://recogei.ontomo-mag.com/■有料会員お申込みページ
https://www.fujisan.co.jp/membership/recordgeijutsu/
9月スタートの予定だったのでギリギリ間に合ったということですかね。レコード芸術オンラインのトップページはキャチアイ画像の通りで、スマホでのアクセスを意識し、レスボンシブ対応しています。
パソコン画面ではフレームを使って画面を分割し、右側に関連する情報(サイト)のリンクとなっています。メインの左側の画面も分野別の情報へのリンクです(スマホの場合はまずこちら側が表示されます)。スマホでもアクセスしてみましたが、読みやすく、よく出来ています。
以前の『レコード芸術が休刊』、『レコ芸クラウドファンディング』で書いたように僕は50年来のレコ芸愛読者でしたが、このレコード芸術オンラインのクラウドファンディングに参加しませんでした。また、その前段のchange.orgでの存続活動も署名しませんでした。
理由はインタネット配信が主流となりつつある時代に一世紀前の名曲名盤という主義は終わったと考えるからです。
ボタンをクリックすれば、様々な演奏をいくらでも比較して聴くことが出来る時代に、「とらわれのない自由の感覚、変幻自在の『功芳節』」と言われても、「いまさら『功芳節』に付き合う気はないよ」だし、「ピションのモーツアルト・レクイエムはバロックへの別れの挨拶」と書かれていると、「どこで配信されているか教えて頂戴」と言いたくなりますね。
「レコ芸オンライン」、ちょっと違うのではないのか。
これが音楽配信と音楽ソフトの売上推移です。音楽配信が全体の1/3に近づき、その中でサブスク(ストリーミングサービス)が9割を占めている現状がお分かりになるかと思います。
このグラフはよく見ると興味深いですね。
オーディオレコード(CDとLP)の売上はずっと低減していたのですが、2020年あたりから横ばいとなり去年、一昨年は微増しています。LP(アナログレコード)の売上高の拡大に起因する部分はあるようですが、それだけでもないみたいです。ガラパコス・ジャパンの象徴ですかね(^^;;;。
音楽の友社がレコード芸術オンラインをスタートさせようという気になったのも、この辺りの数字があるのかもしれません。
しかし、街中のリアルのCD屋はほぼ消滅しつつあるようですね。
これはレコ芸が廃刊となった直後(2023年7月)に銀座山野楽器のCD売り場が廃止となったお知らせです。
同じ銀座のヤマハではとっくの昔にCD売り場は無くなっていますし、秋葉原、横浜なども昔は大規模なCD売り場があちこちにありましたが、ほとんど壊滅しています。CDの大半はインタネットでしか入手出来なくなっているようです。
レコード芸術オンラインの右フレームにCD販売店の紹介がありますが、これもオンライン販売店(タワーレコード、東京エムプラス)と配信会社(NAXOS JAPAN)だけです。船出早々、周りは嵐という感じです。まあ、読者もスマホで記事を読むから、いいじゃないかとも言えますが、そのスマホで音楽も聴いている可能性があるわけだから、前途多難です。
さて、レコ芸オンラインですが編集長の創刊の挨拶にあるように
出版業界を取り巻く厳しい情勢のなか、専門誌の休刊が相次ぐ昨今ですが、一度休刊した雑誌がクラウドファンディングによって(メディアは変われど)復活したケースは、今回の『レコ芸ONLINE』が初めてではないでしょうか。
クラウドファンディングによって資金を集め再開されました。
これはクラウドファンディングの最終結果と途中経過です。1500万円の目標金額に対して45日間かけて行われました。最後の7日間で全体の40%(約330人)近い人が全体の45%位(約800万円)の資金を供出し、目標金額をクリアしました。僕は1週間前の数字を見てこれは駄目だなと思っていました。最後の追い込みが凄かったです。
ただ、昨年7月レコ芸廃刊時の読者数が2万人、change.orgでの存続支援者数が3485人、今回のレコ芸オンラインの賛同者が839人とどんどん目減りしているのは厳しいですね。
折角、レコード芸術がオンラインで再開されたのだから、ストリーミング時代にあった雑誌を編集して、賛同者の数字を復活できるといいなぁと思います。間違いなくストリーミングサービスで音楽を聴くという人口は増え続けるでしょうから。
レコ芸オンラインの創刊時の特別寄稿として片山杜秀さんが激励(?)の投稿をしています。片山さんのクラシック(現代・日本)音楽に関する鋭い批評には敬服していますが、この論文は甘いですね。
「ゆるく長く淡白に、でも情報は少しでも多いくらいのつもりで、時には濃密に欲深い感じで、ずっと続いてゆきますように」とはその通りですが、にも関わらず、2万人も読者がいながら95%から見放された現状を何故ちゃんと指摘しないのか。
「発注者に厳しいことはいえないよ」というのは分かるが(^^;;;、これじゃ先が思いやられますね。
まあ、日本語の最新CD発売情報のまとめとしては使えそうだから、レコ芸難民のためのリンク集には追加しておきましょう。