数が多いので室内楽曲、独奏曲(ピアノ以外)、独奏曲(ピアノ)という順で並べます。並びはここの作品リストと同じですね。
室内楽作品
フルート、チェロとピアノのためのソナタ(1955年)Vc 黒沼俊夫,Fl 小出信也,Pn 小林道夫
1950年代の初期の作品。
アイキャッチ画面はこの録音が公開されているYouTube画面です。
曲にあっているような、いないような不思議が絵ですね。対応する動画(録音)にリンクしてあります。
1970年に発売された「三善晃の音楽」というLP3枚組のための録音です。NCS-587~8 という番号でタワーレコードがCD化しているようです。
他に、この曲には二つのライブ演奏の録画があります。
Miyoshi Akira : Sonate pour flûte, violoncelle et piano
Miyoshi Akira : Sonate pour flûte, violoncelle et piano – ll mov.
東京ブリュッセルトリオ : フルート 神田望美、チェロ ニコラ・デルタイユ、ピアノ 長浜恵子
Sonate Fl Vc Pf 1 mov Atsuko Koga Ithay Khen Anna Grinberg
Sonate Fl Vc Pf 2 mov Atsuko Koga Ithay Khen Anna Grinberg
Sonate Fl Vc Pf 3 mov Atsuko Koga Ithay Khen Anna Grinberg
Flute Atsuko Koga Cello Ithay Khen Piano Anna Grinberg Concert in May 2009 だそうです。
この録音のオリジナルは1970年ころ間宮芳生の弦楽四重奏曲とカップルで発売されたLPレコードだと思います。全曲の楽譜付きの豪華なLPでした。その後、「日本の弦楽四重奏曲」というタイトルで再構成されたアルバムでCD化され、その録音がYouTubeにアップされていることのようです。
これは前述の「三善晃の音楽」からの録音だと思います。
三善さんの1960年代の2曲の弦楽四重奏曲は時代の緊張感を体現した素晴らしい傑作ですね。
弦楽四重奏曲第3番 「黒の星座」(1992年) アルベルティーナ・カルテット 1st Violin 大野有佳里, 2nd Violin 吉川采花 , Viola 山下大樹, Cello(substitute) ウルフ・ムラク ,10.03.2018 Vienna (live)
この曲はロータスSQの演奏がNAXOSでダウンロードできますが、これはウィーンでのライブ演奏。三善の弦楽四重奏曲についてはここの記事(三善晃弦楽四重奏全曲+α)が簡潔に紹介して、参考になります。
メサージュ・ソノール(1985) ケフェウス五重奏団 Flute:太刀川佳奈子 Clarinet:加藤亜希子 Percussion:齋藤綾乃 Marimba:篠崎陽子 Contrabass:田中洸太郎 2022.4.19 東京文化会館小ホール
この演奏会の録画のようですね。この曲は初めて聞きましたが、素晴らしい曲ですね。三善の作品はだいたいフォローしてきたつもりですが、こんな曲があったとは知りませんでした。
フルート合奏のための八つの詩 (1969年) 演奏 : 林りり子 野口竜 小泉浩 白尾彰 旭孝 蔦井康三郎 峰岸壮一 衛籐幸雄, 指揮 : 手塚紀雄
音源は東芝 TA-7029 「現代日本のフルート音楽」です。8人のフルート奏者による8つの小曲の集りという風変わり構成の曲です。
リタニア~コントラバスと打楽器のための(1975年) コントラバス:田中雅彦 打楽器:有賀誠門
絶版のようですが、「 70年代日本のコントラバス作品集/田中雅彦(コントラバス)」というCDの録音だと思います。コントラバスと打楽器という組み合わせは合いますね。面白いです。
オマージュ Homage (1975版) Fl:野口龍 Vn:植木三郎 Pn:松谷翠
「室内楽’70」(Fl 野口龍、Vn 植木三郎、Pn 若杉弘->松谷翠)が1970年から1979年に日本現代曲中心のコンサートを毎年行っていましたが、その会のための献呈曲です。曲の成立の経緯は複雑なので、この論文(宮下玲衣「三善晃の記譜法」第二章第四節)を参照して下さい。
この演奏は1975年のオマージュ1~5の初版のようです。1976年の「室内楽’70」LPレコードに収録された録音だと思います。
オマージュ〜フルート、ヴァイオリン、ピアノのための〜(1979版) 永井由比(Flute)、廣瀬心香(Violin)、石川武蔵(Piano) 2023.4.19 東京文化会館小ホール
この演奏は上記論文の1979年改訂版だと思います。
なお、オマージュについてはこの論文(石島正博)にも詳しく紹介されています。
トルス I(1959年) 指揮:山本直純 演奏:ラモー室内楽団
トルスシリーズについてはこの論文(楢崎洋子)に詳しい説明があります(4章 独奏・アンサンブル作品:音響実験としての「トルス」)。この曲の録音は少なく、このYouTube投稿は貴重な録画のようですね。
合唱曲ですが、シリーズ曲なので、ここで紹介します。
朔太郎の詩、「殺人事件」(II.I)と「見えない兇賊」(II.I)の2篇に作曲ています。この録音も貴重だと思います。詩の内容はリンク先をご覧ください。
次のトルス3からトルス5までは全てマリンバが関わる曲です。トルス3はマリンバ独奏曲なので、この後のマリンバ曲の中で紹介します。
トルスⅣ-八重奏のための(1972)- 邦楽4人の会 巌本真理弦楽四重奏団 指揮 小松一彦 録音 1973年3月5日~6日 イイノホール 東芝 TA-9320 STEREO
トルス4は邦楽器4台とマリンバ4台の八重奏です。編成が特殊なので、録音は少ないようです。YouTube録画はこのLPからの転載だと思います。
トルスV 3台マリンバのための(1973年) TRIBUTE TO MIYOSHI TOYOHASHI by Kuniko Kato 2020 Nov.22
トルスV 3台マリンバのための(1973年) TRIBUTE TO MIYOSHI TOKYO by Kuniko Kato 2020 Nov.05
2020年11月東京/豊橋での三善晃マリンバ作品演奏会のライブ録音です。演奏は篠崎陽子、原順子、高口かれん。この二つの演奏会は曲目は同じですが演奏順序が異なります。また三善の主要なマリンバ曲がまとめて紹介されていて、興味深いものです。
というわけで、次のマリンバ曲の紹介に移りましょう。
組曲「会話」独奏マリンバのための(1962年) TRIBUTE TO MIYOSHI TOYOHASHI by Kuniko Kato
上で紹介した豊橋演奏会(Tribute to Miyoshi)の1曲目に演奏されています。演奏は加藤訓子。
マリンバ演奏は加藤訓子。Linnが宣伝用に公開している録音だと思います。
これもLinnが公開している加藤訓子演奏の録音です。
組曲「会話」(1962年) マリンバ : 中田 麦 0:00 やさしいお話 2:27 よかったね, あれ……を何回も 3:09 いつまでも くやしい 4:48 生返事ばっかり 7:17 つじつまのあわない報告
マリンバ独奏は中田 麦。時間をクリックすると対応する曲を聞くことができます。
協奏的練習曲 2台マリンバのための(1977年/1979年改訂) Tribute to Miyosh TOYOHASHI
これも2020年11月 加藤訓子 Tribute to Miyoshi のマリンバ曲演奏会で演奏された動画です。
Ripple for marimba solo (Interpretation and Performed by Hiromi Shigeno)
24.11.2009 University of Music Karlsruhe Genuit-Saal Marimba : Hiromi Shigeno
「リップル」 独奏マリンバのための(1991年)です。ドイツの音楽大学で演奏された録画なのでしょうか。
マリンバ : 中田 麦。中田麦のサイトはこちら。
マリンバ曲の最後はトルス3。これは豊作です(^^)。
マリンバ演奏は加藤訓子。Linnが宣伝用に公開している録音です。
Torse III for Marimba(TRIBUTE TO MIYOSHI TOKYO 2020 Nov. 05) by Kuniko Kato
Torse III for Marimba(TRIBUTE TO MIYOSHI TOYOHASHI 2020 Nov. 22) by Kuniko Kato
2020年11月に東京と豊橋で行われた三善晃のマリンバ作品の演奏会でのライブ演奏です。演奏は加藤訓子。
Torse III: Thèse : Chant : Commentaire : Synthèse , Keiko Abe, Provided to YouTube by Naxos Digital Services
マリンバ演奏は安倍圭子。Naxosが宣伝用に公開している録音です。楽章ごとに動画が分かれているので、動画を楽章のタイトルにリンクしてあります。
Torse III for solo marimba performed by Chaiya D.Odle Recorded in the Central Washington University Recital Hall on December 14th, 2020.
Torse III, Performed by Alexander Dyer, Recorded in March of 2023 in the Lincoln Recital Hall
トルスⅢ 0:00 Thèse 2:12 Chant 3:48 Commentaire 4:54 Synthèse マリンバ : 中田 麦 2021/05/18
Torse III Preformed by Johnny Barker I.These II.Chant III.Commentaire IV.Synthese
トルス3についてはこの論文(楢崎洋子 三善晃におけるオペラ構想のゆくえ―1960年代後半の器楽作品と声楽作品の関係をめぐって―)が面白い。
きりが無いのでこの位にしておきます。YouTubeで “Torse III” で検索すると他にも様々な演奏が出てきます。日本だけでなく、海外でも結構の数の録画があります。
独奏曲に移る前に、邦楽器を含んだアンサンブルの曲を紹介します。
変化嘆詠 一休諸国物語図絵より 指揮:田中信昭 合唱:東京混声合唱団 尺八:北原篁山 十七絃:高畑美登 子 打楽器:百瀬和紀 鼓:堅田喜三久
オリジナルはこのCDの録音のようです。こちらにも同じ録音がアップロードされています。
曲の紹介は丘山万里子「生と死と創造と――作曲家・三善晃論」を参照して下さい。
混声六部合唱、尺八、打楽器、十七絃のための「変化嘆詠」 Conductor:清水敬一 Chorus:松原混声合唱団 尺八:坂田梁山 Percussion:高橋明邦・多田恵子/齋藤綾乃 十七絃:花岡操聖 2016.4.28 東京文化会館小ホール
2丁の鼓による演奏です。
この曲は、戦争三部作、レクイエム(1971年)と詩編(1979年)の間(1975年)に作曲されています。この二つの傑作を繋ぐポイントとなる作品です。古寺でおどり狂うバケモノが人生の嘆きを歌うという不思議な歌詞の曲で、和楽器と打楽器と合唱の組み合わせが印象的です。
樹を、波と……~十七絃箏のための(1980) 十七絃箏:菊地悌子
十七絃箏を演奏している菊地悌子が三善に委嘱した作品。
三善の和楽器作品は1980年代に集中しています。この曲の後、Du Blanc au noir(1982年) 二十絃箏、風紋(1984年) 邦楽器合奏(国立劇場の委嘱作品)、流觴曲水譜(1986年) 尺八,2箏,十七絃 と続きます。最初の2曲はYouTubeにアップロードされていないようです。僕も聞いたことがないので、残念。
流觴曲水譜 邦楽4人の会 ℗ 1997 Victor Entertainment Released on: 1997-05-21

録音の出所のCDのジャケットです。YouTubeの録画もこのジャケットが使われています。月とススキとはシンプルなデザイン。邦楽器の曲集だからということでしょうか。凄いですねぇ(^^;;;。
ピアノ、ヴァイオリンなどの曲は次回に。