ショスタコをスコア付きで聴く

ショスタコをスコア付きで聴く

「ショスタコ」はもちろんショスタコーヴィチの略です。
ショスタコーヴィチは1975年に亡くなっています。従って、彼の作品はまだ著作権で保護されていますが、YouTubeは各国の著作権管理団体と独自の契約を行っていますので、彼の作品を無料で公開しています。この動画の中にスコアを見ながら曲を聞けるものがあります。調べたら彼の主要作品はほとんど聴くことが出来ました。ご紹介しましょう。

YouTubeにはプレイングリストを作成し、公開する機能があります。ショスタコをスコア付きで聴くプレイングリストも公開されています。
アイキャッチ画像のComplete Albumというリストはショスタコーヴィチの交響曲、協奏曲、室内楽曲、独奏曲の作品をスコア付きで聴くことが出来るページです。この他に交響曲全曲のリストが三つ(中身は全部同じです)、弦楽四重奏曲全曲用のリストあります。
著名な作品でリストに無いのは、「黄金時代」、「ムツェンスク郡のマクベス夫人」、「明るい小川」などパレエやオペラなどです。バレエとオペラをスコアを見ながら聴くというのは変な人だろうから(^^;;;、これは問題なし。
重要な作品はほぼ全てスコア付きで聞けますが、「24の前奏曲とフーガ」の全曲がないのは残念。

以下、YouTubeの検索機能で「shostakovich score」で検索した成果です。

交響曲

三つのリストがあります。曲の並び順序が違うなどの差はありますが内容はほぼ同じです。下の画面をクリックするとContemporary Classical のリストが表示されます。そのリストから各曲のスコア動画を見ることができます。

以下、並びを交響曲の番号順として、演奏者名をリストアップしておきます。クリックすれば、直接、スコア動画にアクセスできます。

Teodor Currentzis の7番、14番はオリジナルのリストには有りません。僕の好みで追加したものです(^^;;;。Currentzis のYouTube動画としては、他にスコア付きではありませんが、1番8番 の演奏があります。

管弦楽曲

オペラ、バレー、映画音楽からの編曲も含みます。Complete listには祝典序曲、ジャズ組曲、マクベス夫人からの抜粋くらいしかありませんが、検索して補足しました。

ショスタコーヴィチは管弦楽曲は舞台作品の編曲が大部分ですね。アッケラカンという感じの初期の作品と社会主義リアリズムに忠実のようで何か怪しい(^^;;;中期以降の作品からなります。

協奏曲

交響曲と同じく傑作の森です。

ピアノ協奏曲第2番にユジェ・ワンの素晴らしい名演があります。スコア付きでは有りませんが、埋め込みます。

Philadelphia Orchestra conducted by Yannick Nézet-Séguin October 6, 2021 Carnegie Hall, Stern Auditorium

ヴァイオリン協奏曲1番については Batiashviliの演奏が凄い。鬼神も恐れるというレベルの迫力です。最終楽章のみですが、ミュンヘンフィルとのライブ動画がYouTubeにありました。

コンチェルトに関しては全曲スコア付きで聞けるわけです。

弦楽四重奏曲

1番から7番と9番から15番はFitzwilliam Quartet 、8番はSt. Lawrence String Quartetが演奏しています。画像は Complete String Quartet リストです。クリックするとYouTube画面が表示されます。

アイコンをクリックすると、Comlete String Quartetリストの番号の曲を聴くことが出来ます。

レコ芸が廃刊に追い込まれる直前に「新時代の名曲名盤」という特集をやっていました。この中でショスタコーヴィチの名曲として、交響曲は2番と3番を除く13曲、弦楽四重奏曲は8番だけとなっていました。「新時代」と銘打っておきながら、旧態依然の交響曲中心の選曲に呆れ果てた記憶があります。これじゃ潰れるのは当たり前ですね(^^;;;。

その他の室内楽

ショスタコーヴィチはベートーヴェンと違ってピアノソナタは2曲だけです。
その他のソナタは各楽器について1曲だけ。有名なのは最晩年のビオラソナタ。心揺さぶられること無しには聴けない傑作です。

やっぱり「24の前奏曲とフーガ」の全曲がないのは残念です。曲を献呈されたニコラーエワの演奏でどうぞ。

Preludes and Fugues, Op.87, Book I – Tatiana Nikolayeva

動画無しの全曲(24 Preludes and Fugues for piano, Op. 87 – Tatiana Nikolayeva (1987))はこちらにあります。

以下は作品番号10未満(交響曲第1番以前)の初期の作品です。今回初めて聴く曲ばかりですが、なかなか面白かったです。

作品3のオーケストラの主題と変奏について「He wrote this when he was 15, in his third year at the conservatory. He did write the Op. 1 Scherzo when he was 13, though.」というコメントがありました。なるほど、ショスタコーヴィチはモーツアルト程早熟というわけでは無かったようです。
ショスタコーヴィチの全作品のリストはここ(日本語英語)にあります。

オペラ、バレー

スコア付きの演奏はありませんが、「鼻」、「マクベス夫人」、「明るい小川」のYouTube舞台映像をご紹介しましょう。

The Nose, Moscow Chamber Opera Theatre Chorus & Orchestra, Gennady Rozhdestvensky, conductor

この曲はスコアもあります。

曲の紹介はこちら

パリ国立オペラ(Opera national de Paris)のマクベス夫人

 ‘Lady Macbeth of Mtsensk’ Conductor Teodor Currentzis(クルレンティス指揮のマクベス夫人) in 2008, in Novosibirsk Opera and Ballet theatre.

マクベス夫人についてはこちらに紹介があります。

The Bright Stream – Act I – Bolshoi

The Bright Stream – Act 2 – Bolshoi

何故これが社会主義リアリズムの敵となるのかわかりますかね ?
「明るい小川」についてはこちらに紹介があります。

この曲もここで紹介しましょう。反形式主義的ラヨーク。あまりにもラディカルなので、生前は公開できなかった作品です。

Anti-Formalist Rayok, Perm Opera & Ballet Theatre’s Orchestra, conductor – Valeriy Platonov.

YouTubeの検索機能で「Shostakovich Rayok」と入力すると他にもいろいろ出てきます(良い時代になったものです)。英語の歌詞付きとかもありますので、そちらで捜せばよいでしょう。

声楽曲

声楽曲の場合、スコアと同様に歌詞が重要ですね。
ここ(詩と音楽)にショスタコーヴィチの声楽曲の歌詞の日本語訳がまとめられています。
また曲を紹介するサイトへのリンクも合わせて案内します。

最後に岩波の新刊紹介の冊子で行われた吉松さんと亀山さんの対談記事です。この二人のショスタコーヴィチ観はかなり異なるかと思いますが、大笑いしてしまう部分が一杯ある変な対談です。面白さは保証します。

動乱と大粛清の時代のソ連を生きた作曲家の人間ドラマ『ショスタコーヴィチ 引き裂かれた栄光』の著者・亀山郁夫さんと作曲家・吉松隆さんの対談イベントの模様をお届けし…
tanemaki.iwanami.co.jp
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